平行投影:堀内正和と日本のアートにおける幾何学の応用
ヴィラ九条山滞在中、ラファエル・ザルカは日本のモダニズムを担った芸術家、堀内正和の作品を研究し、日本のアート分野における幾何学の応用について探求します。2027年京都市京セラ美術館にて、堀内との共同展開催という形で発表される予定です。堀内の彫刻作品を通してラファエル・ザルカが追求するのは、日本における遠近法である並行投影(アクソノメトリック―三次元の立体を平面に描く技法)というテーマ。欧米では、ルネッサンス時代より幾何学的空間に使われる遠近法は中心投影でした。それに反し、日本の絵画では、平行線が永遠に交わらない消失点のない遠近法が使用されていました。ただ、この遠近法を用いるとある種の構図的問題が生じます。日本の絵画にも数世紀に渡ってその影響が見られました。
ダフネ・ビイガ・ヌワナクとボードワン・ヴェールは、瞽女(日本中の僻地を渡り歩いて唄や語りを披露する盲目の女性芸人)の軌跡を辿ります。瞽女は、数世紀に渡り日本各地を唄い歩きながら、自身の「ハンデ」を美学として最大限に利用し、障害者が演じる際に問われる問題を克服して来ました。ヴィラ九条山に滞在中、ダフネ・ビイガ・ヌワナクとボードワン・ヴェールは瞽女に関わる貴重な情報を得るために、保管されている資料を調べ、障害のあるアーティストや教育者、研究者に話を聞きます。さらに、そうした活動と並行して、多分野にまたがる学際的なアプローチを試みたパフォーマンスも作成し、自分達が知覚したものを提供することになっています。
結び、ほどき、また結ぶ
本プロジェクトは、オレリー・ラノワゼレと、大阪で『江戸時代にみる花結びの伝承 : ジェンダーの視点から』という博士論文に取り組む矢島由佳氏 との出会いに端を発します。花結びや修多羅、仕覆などは、伝承によってのみ存続するものであり、一種のコデックス(古代末期から中世にかけてつくられた冊子状の写本)のようです。プロジェクト『儚さを永続させる』は、「結ばれるために結ばれた」対象と結ぶ行為を、手や針などを通して問い直すことを目的としています。出会い、滑らせる紐と手、思考、形を生み出す創作行為といった一見関係性の見えない「社会的織物」を可視化することに焦点を当て、日本の素材をめぐって展開されます。