07 9月 ローレン・トルティル Lauren Tortil
ローレン・トルティルはサウンドアーティストで、レンヌにある公共空間に関する高等教育・研究機関《EUR CAPS》の博士課程に在籍。サウンド・スタディーズとメディア考古学から影響を受けた彼女は、音響テクノロジーのプリズムを通して、聴くことのプロセスに関心を抱くとともに、メディア、人間と音環境の間の相互作用にも関心を寄せています。こうしたアプローチは、音が特にお気に入りの素材として用いられる彼女の造形表現(印刷物、インスタレーション、パフォーマンス)を培っている図像学的・理論的リサーチにも現れています。ローレン・トルティルの仕事は、フランス国内ではパリのアート&リサーチ・センター《ベトンサロン》、ポンピドゥー・センター、ルイ・ヴィトン財団、ペルノ・リカール財団、フランス美術著作権協会(ADAGP)や現代美術センター《ヴィラ・デュ・パルク》などの機関で、フランス国外ではジョリエット美術館(カナダ)、サウンド・ギャラリー(チェコ)や第11回サンパウロ建築ビエンナーレ(ブラジル)などで紹介されています。
Du son pour faire silence/静かにするための音について
ローレン・トルティルは、イアホンという個人的利用のための音響技術が私たちの環境の捉え方に与える影響に関心を寄せています。20世紀末から私たちの日常の至るところに入り込んだイアホンは娯楽、コミュニケーションのためや騒音公害から身を守るためなど、さまざまな使い方をされています。しかし、その結果、こうした使い方はパーソナルな音のバブルを作り出すことで外界から逃避することを促し、公共空間のある種の細分化やさらにはプライベート空間への作り替えを生み出す結果となり、こうした公共空間の定義に関する問題を提起しています。
ローレン・トルティルが提案するのは、こうした現象の出現に寄与したテクノロジーについて調査すること。例えば、初代ウォークマン「TPS-L2」の場合、ソニーによるその販売開始は一人で聴くことと同時にユーザーが「持ち運べる」ことを可能にすることで、1980年代に聴くことに大きな革命をもたらしたと言えます。ローレン・トルティルは2023年3月に東京でソニーのアーカイブを用いてこのリサーチに着手することができました。ヴィラ九条山では、この仕事を継続し、このテーマに基づくパフォーマンスと同時に図版入りのアーティスト・ブックの制作が目指されます。
Crédits photos :
1. Silence en déplacement, vue de l’exposition Cochlée & Cypraea à l’Adagp, 2022. Œuvre co-produite par l’Adagp et le MAD dans le cadre du prix Révélation du livre d’artiste 2020.
2. Your Feet Become Ears, vue de l’exposition Cochlée & Cypraea à l’Adagp, 2022. Œuvre co-produite par l’Adagp et le MAD dans le cadre du prix Révélation du livre d’artiste 2020.
Crédit photo : Nina Patin
3. Your Feet Become Ears, vue de l’exposition Cochlée & Cypraea à l’Adagp, 2022. Œuvre co-produite par l’Adagp et le MAD dans le cadre du prix Révélation du livre d’artiste 2020.
Crédit photo : Nina Patin
4. Remaining Observant, vue de l’exposition On y marche avec l’oreille — l’appel du terrain au centre d’art la Villa du Parc, 2019. Œuvre co-produite par l’Institut français du Brésil – Consulat général de France à São Paulo, la 11e édition de la Biennale d’Architecture de São Paulo et La Villa du Parc.
Crédit photo : Aurélien Mole
5. Remaining Observant, marches sonores dans le cadre de l’exposition On y marche avec l’oreille — l’appel du terrain au centre d’art la Villa du Parc, 2019. Œuvre co-produite par l’Institut français du Brésil – Consulat général de France à São Paulo, la 11e édition de la Biennale d’Architecture de São Paulo et La Villa du Parc.
Crédit photo : Lauren Tortil