02 6月 クラウディ・スルバン Klavdij Sluban
クラウディ・スルバンはスロベニア育ちで、フランスで高等教育を受けました。1986年には英米文学の修士号を取得し、イタリアに1年間滞在。1992年からは、バルカン半島、黒海やバルト海周辺、シベリア横断やケルゲレン諸島で制作された作品群を通して写真に専念しています。1995年から2001年にかけては、フルーリ=メロジス拘置所に併設された少年鑑別所で10代の少年たちとルポルタージュのワークショップを開催。彼らの仕事は各セッションの終了時に拘置所内で展示されました。アンリ・カルティエ=ブレッソン、ウィリアム・クラインやマルク・リブーといった写真家たちがこの仕事を見守り、定期的に訪問しています。1998年以降は、これと同じプロジェクトをロシア、ウクライナ、グルジア、レトニアの拘置所やスロベニアでただ一つの少年刑務所のほか、ガテマラとサルバドールでも継続。
スルバンの作品はフランス国内の数多くのコレクション(国立造形芸術センター[CNAP]、ニセフォール・ニエプス美術館やポンピドゥー・センター)のほか世界各地で紹介されています。また数多くの作品集を主としてActes Sud社、欧州写真美術館やフランス国立図書館出版部から刊行しています。
ヴィラ九条山でのプロジェクトは「Divagation – sur les pas de Bashô/彷徨:芭蕉の足跡を追って」と題さ入れ、17世紀の俳人の日本全国の旅に基づいたものです。中でも、クラウディ・スルバンは京都から東京までの道のりを、2週間の徒歩旅行で踏破しようと考えています。この旅行中に遭遇した現実は写真によるエクリチュールの詩的表現形式のきっかけとなるものです。こうしたさまよい歩きと交互に行われるヴィラ九条山での滞在は、レジデンス施設をスタジオに変貌させ、今日の日本について語る日本人のポートレートを撮影する機会ともなります。