29 9月 ダミアン・ジャレ&名和晃平 Damien Jalet & Nawa Kohei
ダミアン・ジャレは演劇の勉強を始めたあと、コンテンポラリーダンスに進路を変更し、ニューヨークのトリシャ・ブラウン・スタジオで研鑽を積みました。
ダンサーとしては振付家シディ・ラルビ・シェルカウイと密接な協力関係にあり、ドラマツルギー、演出や音楽にも手を貸しています。 また、演出家アルチュール・ノジシエルとも協力関係にあり、いくつかの作品の振り付けを担当しています。 2013年には、芸術文化勲章シュヴァリエ章を受章しています。
名和晃平は日本における現代アートの第一人者の一人です。その仕事は細胞(cell)とピクセル(pixel)を組み合わせた造語である《PixCell》というコンセプトを様々な形で展開するオブジェ制作が中心となっています。ブリスベンでの第6回アジア・パシフィック・トリエンナーレに参加したほか、第14回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュには日本代表として出展し、グランプリを獲得。また、京都の南にあるサンドイッチ工場跡を整備し、クリエーター、アーティスト、プランナーや建築家を集めて、共同プロジェクトを行うための創作プラットフォームを立ち上げています。
ダミアン・ジャレと名和晃平は2015年5月から8月にかけてヴィラ九条山で「デュオ(2人1組)」でのレジデンスの機会に恵まれました。
このデュオは2つの世界を行き来する紐帯としての身体や神話と解剖学との関係を探求し、これに当たっては、特にダンサーの身体の延長としての彫刻が用いられました。このプロジェクトのためのリサーチの一環として、アニミズムのルーツと今も存続するその伝統を探るため、ダミアン・ジャレは日本の聖なる場所への旅を何度か行い、ジル・デルマスとの共同監督による映像作品の撮影も進めました。
2人のコラボレーションの成果として、「おおさか創造千島財団」でのレジデンス時には、3人のダンサーによるプロジェクト第1段階のプレゼンテーションが行われました。『Vessel』と題されたこのパフォーマンスは、母胎として、またダンサーの身体の延長として構想された舞台美術を作り出すことで、ダンスと彫刻が入り混じったものとなりました。この作品は2016年に京都で初演されることになっています。
デュオとしての仕事と並行して、ダミアン・ジャレはアンスティチュ・フランセ日本の横浜でのダンス交流プロジェクト「ダンスクロス」や東京の「Architanz(アーキタンツ)」での4日間のワークショップに参加したほか、京都芸術センターでもワークショップを行いました。