08 1月 カミーユ・ミューテル Camille Mutel
カミーユ・ミューテルはダンサーであり振付家。エルヴェ・ディアスナスの《ダンスの動きの実習》のトレーニングを受けたカミーユ・ミューテルは、20歳の時、舞踏の公演を見てアーティストとして大きな衝撃を受けました。この出会いは身体と動きに対するアプローチに決定的な変化をもたらすものでした。カミーユ・ミューテルの作品は自分自身との関係やほかの人たちとの関係を問い直すもので、ヨーロッパ各地や日本で発表されてきました。
他者の居場所
カミーユ・ミューテルの仕事は日本文化とフランス・ヨローッパ文化が交差する地点に位置しています。身体とダンスを巡るカミーユ・ミューテルの考察は、舞踏における自らの奥深い体験から着想を得たもので、今もその創作活動のなかで生まれ、成長し続けています。ふたつの文化の間の架け橋が自明の理として立ち現れます。舞踏に加えて、茶道も発想と考察の源となっています。身振り、眼差しや意図の一つひとつが、何らかの規範や正確な意図に呼応します。身振りによる表現には、それが組み込まれる関係が備えたもの以外の意味はありません。出会いの時間と共有される空間が身振りを通じて書き綴られることになります。関係の質とその在り方が、いかなる説話行為や羨望や目的を超えて、一つひとつの身振りに刻み込まれます。身振りにはその身振り自体の他に意図はありません。身振りは現在形で書き綴られ、今そのものなのです。