26 12月 エミリ・リゴー Emilie Rigaud
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エミリ・リゴーはグラッフィクデザイナー、タイプデザイナーで、日本におけるタイポグラフィーの歴史の専門家。2010年にはタイプ工房《A is for fonts 》を創業し、ナンシーの国立タイポグラフィー研究アトリエ(ANRT)の教員も務めています。
パリ国立高等装飾芸術学院(ENSAD)でグラフィックデザインの修士号を取得後、エミリ・リゴーは英国のレディング大学でタイプフェイスデザインを専攻。在学中にデザインしたタイプフェイスファミリー「Coline」は2011年に東京タイプディレクターズクラブのタイプデザイン賞に輝き、フランス国立造形芸術センター(CNAP)のコレクションにも収められました。タイプ工房《A is for Apple》を率いるエミリ・リゴーは、造形的表現力と厳密な制作を兼ね備えた書体を守り抜こうとしています。
上記の学歴に加えて、エミリ・リゴーはフランス国立東洋言語文化学院(INALCO)の修士課程で日本文化と日本語を専攻し、主任教授エマニュエル・ロズランの指導のもと、日本におけるタイポグラフィの歴史に関する論文に着手したばかりです。この研究活動はグラフィックデザイナーとしての活動のみならず、教員としての活動にも呼応したものです。
異なった崩し文字を備えたフォント:カリグラフィーからタイポグラフィへ
ヴィラ九条山でのレジデンス期間中、エミリ・リゴーは日本におけるタイポグラフィーの歴史に関する研究を継続します。その中心となるのは、書道によりもたらされた日本の文字の自然な崩し方とタイポグラフィーや複製により課せられた機械化プロセスとの間の緊張関係。
このプロジェクトは日本語のために数種類のタイプフェースからなるフォントファミリーをデザインし、一見したところ相容れない2つの性格を結び合せるものです。この提案により、最終的には、手の動きと字形のよりメカニカルな処理の仕方の間のバランスが見出されることになります。