02 4月 ポーリーヌ・アバスカル&梶原加奈子 Pauline Abascal & Kanako Kajihara
美術学校を卒業したポーリーヌ・アバスカルは12年前からバレンシアガ、イザベル・マラン、 アンドアザーストーリーズ(& Other Stories )などのファッションブランドのために仕事をしています。自分のアトリエでプリント生地を制作し、ヨーロッパやアジアの工場で素材を開発。2011年3月に西脇市で開催された「播州織総合素材展」では、フランスのラグジュアリーブランドから見た日本のテキスタイルについて発表する機会がありました。
梶原加奈子はロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでファッションとテキスタイルを専攻。2008年には東京に《KAJIHARA DESIGN STUDIO》を設立し、2013年にはパリのファッション素材総合見本市「プルミエール・ヴィジョン」の機会に発表されたPVアワードでグランプリを受賞。日本のファッションブランドと協力しながら、ヨーロッパのラグジュアリーブランド向けに革新的でクリエーティブなテキスタイルを開発しています。
もののあわれ
2人1組のデュオ・プロジェクトのタイトルは「もののあわれ」。文字通りフランス語に訳せば「l’aspect Ah! des choses(ものの感嘆すべき側面)」となり、「ものに対する感情移入」あるいは「はかなさを愛でる感性」と解釈することもできます。プロジェクトの第1部となるのはテキスタイルのカプセルコレクションを二人三脚で制作すること。第2部は日本のテキスタイル産業を巡るドキュメンタリーで、製造現場や職人と機械のめまぐるしい動きを映像に収め、日本のファッションを産業考古学的な観点から取り上げます。これを通して、ファッションがどのように作り出されるのか、日本の生産手段と「もののあわれ」の思想に基づいて、どのように自らのファッションを生み出せるのかが検討されます。