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ノエル・ピカペールによるプロジェクト「MOHITORI」プロジェクト


2024年から2025年にかけて、ノエル・ピカペール(2024年度・建築)は、日本の公共空間に潜む水の流れの痕跡に光を当てるプロジェクト「MOHITORI」を展開しました。


1/2:リサーチとフィールドワーク

プロジェクトの背景と課題

2024年に、ヴィラ九条山は、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会、一般社団法人 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、三菱地所株式会社の三者が実行委員会を組んで立ち上げた「Yurakucho Art Urbanism(YAU)」とパートナーシップ協定書を締結しました。YAUは、有楽町や大手町エリアを、アートイベントやインスタレーションといったアーティストの活動を通じて活性化する取り組みです。

ヴィラ九条山、YAU、そして建築家ノエル・ピカペール(2024年度レジデント、建築)によるプロジェクト「MOHITORI」は、東京の中心部に位置するこれらの都市空間を舞台に、コロナ禍以降、テレワークの普及によって変化しつつある公共空間のあり方を探るものです。

大手町のエリアは、仕事のリズムによって強く規定されており、自由な使い方や多様な時間の過ごし方を探しづらいものとなっています。こうした状況に対して問われていたのは、「都市をどのように居場所として取り戻すか」ということでした。これらの空間にもう一度活気を与え、人々の交流を生み出し、働く人の日常の中に芸術や建築の体験をどのように取り入ればよいのかという課題です。

マイクロ・レジデンス:東京でのリサーチ期間

ヴィラ九条山では、日本各地のパートナーと連携し、1〜2週間の短期滞在プログラム(マイクロ・レジデンス)を展開しています。この枠組みのもと、ノエル・ピカペールは2024年6月に東京へ招聘され、YAUのチームや東京藝術大学のアーティスト、建築家たちと協働しました。約1週間にわたり、公共空間の使われ方や認識に関する議論や意見交換、ワークショップ等に参加し、日本における公共空間のあり方について理解を深めました。

この滞在を通して、都市の風景に対する新たな驚きや問いを生み出すことが試みられました。ピカペールは、あえて違和感を伴う存在としての小規模なパビリオンを構想しました。作品を通じて、日常の見慣れた風景に変化をもたらし、人々の意識や振る舞いを揺さぶることを目指します。また、通りすがりの人々のあいだに新たなつながりを生み出す契機ともなります。

このリサーチを経て、大手町に隣接する大手町川端緑道 に対して最初の提案が生まれました。本パビリオンは、都市の中にひととき立ち止まる時間を生み出し、都市景観の中を静かに流れる水の痕跡を浮かび上がらせるものとなります。


2/2:ポストレジデンス・制作

2024年に東京・有楽町にあるYAU STUDIOで行われたマイクロレジデンスをきっかけに、YAU、ヴィラ九条山、ノエル・ピカペールの三者は、その後約1年にわたり協働を続け、構想の具体化に取り組みました。その後ノエル・ピカペールは2025年5月に再来日し、制作段階へと移行しました。

多くの日本の関係者の協力のもと、パビリオン「MOHITORI」の制作ができました。最初の設置場所は、大手町のオフィスビル(大手門タワー・ENEOSビル )に隣接するホトリア広場で、利用者の多い地下鉄出入口に近い立地です。本プロジェクトは、蘆田暢人氏や森純平氏、鶴田航氏による設計面での監修と調整、東京藝術大学の学生との協働(野良展示プロジェクトの一環)、そしてYAUおよび松本家具との連携によって実現しました。*

展示場所

小規模建築物である MOHITORI は、都市の標識、見場らしいのいい展望台、水の儀式、複数の意味合いを持っています。静かに思索するための場所として構想された MOHITORI は、東京の様々な場所で展示されました。

・ホトリア広場(2025年5月30日〜6月15日)
 ※東京日仏学院主催「第11回「哲学の夕べ」― Agir pour le vivant」の一環として展示されており、蓮溪芳仁氏による儀式の中で披露されました。
・東京日仏学院(2025年7月1日〜10月25日)
大手町川端緑道 (2025年10月27日〜11月28日)
 ※YAUおよび東京藝術大学による実験の一環として実施

本プロジェクトは、多くの日本の専門家たちとの緊密な協働のもとで進められました。リサーチと制作という二つの段階から成るこの取り組みは、協働や知識の共有、そして地域との結びつきを基盤としたレジデンスのあり方をを示しています。

YAUとヴィラ九条山の資金支援のもと 、アンスティチュ・フランセ、アンスティチュ・フランセ、ベタンクールシュエーラー財団の支援も受けて実施されました。


パートナー: 「YAU(ヤウ、有楽町アートアーバニズム[Yurakucho Art Urbanism])

「YAU(ヤウ、有楽町アートアーバニズム[Yurakucho Art Urbanism])」は、2022年2月1日よりスタートした、アートを軸にしたイノベーション創出のプラットフォームです。アーティストも、ワーカーも、企業も、来街者もみなフラットな立場で、自身の資源を持ち寄り、都市に創造的イノベーションを起こすことを目的としています。
都市生活そのものとまちづくりの方法を実践的に深めることを意味する「アーバニズム(Urbanism)」という語をもとにした「アートアーバニズム(Art Urbanism)*」は、その「使い手」にも「つくり手」にもアートが浸透する状況を表現した言葉です。「YAU」は日本有数のビジネス街であり、日比谷・銀座との結節点でもある大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアを舞台にして、そこに集う人々すべてにとっての創造的なシーンとなることを目指しています。

【主 催】
「有楽町アートアーバニズム」実行委員会
(NPO法人大丸有エリアマネジメント協会、一般社団法人 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、三菱地所株式会社)

【共 催】
東京都(一部プログラムを実行委員会との共同事業として実施)

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© 松岡一哲