エコール・ブール国立工芸学校で家具製作を専攻し、2001年に卒業したあと、ニコラ・ピノンは伝統的及び現代的な仕上げ技術を習得することに専念。素材と間近で向き合うリサーチを通して日本の漆の特性を探るうちに、バルセロナの美術修復高等職業学院(ESPAR)で漆芸を専攻することになりました。
その後、漆芸・古美術工房「アトリエ・ブリュジエ」に入り、世界各地のプロジェクトに携わることで装飾の修復と製作の腕を磨きました。2006年からは定期的に来日し、漆芸家・大西長利の下で見習いとして働き、乾漆という古来の技法について教えを受けてきました。2013年以降、ニコラ・ピノンはコラボレーションにおいてもリサーチにおいても日本の漆だけに専念しながら、新しいテクノロジー、3Dプリンターによる柔軟性に富んだ支持体の製作や漆工品のレーザー彫刻も取り入れています。
2020年には、デザイナーのディミトリー・リンカとの共同プロジェクト《エントロピー》で「手の賢さに捧げるリリアンヌ・ベタンクール賞®」の「ダイアローグ」部門に入賞。これは可搬式の軽量な暖房器で、その外観は温度波を表したデザインとなっており、温度の変化に応じて漆も色を変化させます。