ヴィクトワール・ティエレ
2026/07/30

プロフィール
ヴィクトワール・ティエレは、彫刻家及び写真家、ヴィデオ作家として活動しています。自然、形状、テクノロジーといった異なる三つの要素に焦点を当て、その関係性が、極限状態(例えば軍隊や防衛、瀕死の場に置かれた状況)ではどのように変化するのかを探る研究を続けています。2023年、アメリカ、ヴィラ・アルベルティーヌのレジデント。ワシントンのスミソニアン協会では、沖縄に関する研究プロジェクトを進めました。また、ロサンジェルスのゲッティ―・リサーチ・インスティチュートでは、Experiments in Art and Technology(E.A.T. ニューヨークを拠点とし、幅広い分野でアートとテクノロジーを結ぶ数多くの実験を行って来たグループ)に関する研究を行っています。
2024年、フランス国立宇宙研究センター在籍中には、Caillou(小石)と命名した鋼鉄の彫刻を作成。この作品は、バルーンで高度30406メートル(成層圏)まで上昇させた際、気圧の影響を受け変形した形で地表に戻って来ました。
2025年にはアヴィニオンのランベール・コレクションにて、Okinawa!!と題した初の個展を開催し、同名の著作をRVB Books(パリ)より出版しています。
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Victoire Thierrée
プロジェクト
Into the Fog(霧の中)
ヴィクトワール・ティエレは、第二次世界大戦中、旧日本軍が本来とは異なる目的で和紙を利用したという点に注目しました。実際、1944年から1945年の間、日本軍は和紙で風船爆弾を作成し、一万キロメートル以上離れた米国まで送っています。そこから発想を受けたヴィクトワール・ティエレは、人間国宝である和紙職人とコラボレーションし、和紙の空中での特性を確かめながら一連の彫刻作品を制作する予定です。その活動の様子は同時に画像化され、写真集としても発表されます。
ヴィクトワール・ティエレはまた、Experiments in Art and Technology(E.A.T.)に関する研究も引き続き行い、その映画化を考えています。その為に、2023年にはゲッティ・リサーチ・インスティチュートにて、保管されているE.A.T.に関する記録も調査しました。映画では、特に日本人アーティスト中谷芙二子(「霧の彫刻」が代表作)の作品にスポットを当て、人工的であることと自然であること、可視と不可視といった対比する二つのものの関係性をテーマとして扱います。このテーマはまさに中谷自身の活動の中心であり、同時に現代に投げかけられた課題とも言えます。

Victoire Thierrée, exposition Okinawa !!, La Collection Lambert (Avignon), 2025, Photo ©Jean-Christophe

Victoire Thierrée, exposition Okinawa !!, La Collection Lambert (Avignon), 2025, Photo ©Jean-Christophe