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ラファエル・ザルカ

造形芸術
2026/05/01 
 2026/07/30

プロフィール

ラファエル・ザルカはイギリスのウィンチェスター・スクール・オブ・アートと、パリの国立高等美術学校を卒業しました。2010年から2011年までローマ、ヴィラ・メディチにレジデントとして滞在。二十年前から、彫刻及びそれに付随する分野で幅広く活躍しています。その活動範囲は、彫刻のような三次元の作品はもとより、絵画、写真、デッサン、出版、ヴィデオ制作と多岐にわたります。また、B42エディションから、スペースとスケートボードに関するエッセイのシリーズ三作を出版しています。

 

ラファエル・ザルカは、作品の制作に関しては20世紀の幾何学的抽象の概念を継承しており、アートや科学、テクノロジーの分野における幾何学の応用を研究した上で、それをもとに製作を行っています。また、動き(ムーヴメント)に関心を持ち研究を重ねた結果、Cycloïde Piazza (2024年、ポンピドーセンター)のような様々な実用的彫刻作品を作成しています。

現在、ノルマンディーのカーン・シェルブール芸術メディア学校及びカーン大学にて、ラジアン(弧度法―数学やプログラミングで角度を表す単位)に関連するプログラムで博士号取得の準備中。


プロジェクト

平行投影:堀内正和と日本のアートにおける幾何学の応用

ヴィラ九条山滞在中、ラファエル・ザルカは日本のモダニズムを担った芸術家、堀内正和の作品を研究し、日本のアート分野における幾何学の応用について探求します。その成果は、2027年京セラ美術館にて、堀内との共同展開催という形で発表される予定です。堀内の彫刻作品を通してラファエル・ザルカが追求するのは、日本における遠近法である並行投影(アクソノメトリック―三次元の立体を平面に描く技法)というテーマ。欧米では、ルネッサンス時代より幾何学的空間に使われる遠近法は中心投影でした。それに反し、中国、インド、日本の絵画では、平行線が永遠に交わらない消失点のない遠近法が使用されていました。ただ、この遠近法を用いるとある種の構図的問題が生じます。日本の絵画にも数世紀に渡ってその影響が見られました。そんな中、18世紀以降日本絵画に取り入れられたのが、中国画を継承した、鳥観図という遠近法だったのです。この遠近法は欧米の遠近法と融合し、表現する上での新たな可能性を広げました。

Raphaël Zarka Cycloïde Piazza 2024 Pin massif, acier, contreplaqué de bouleau, peinture 500 x 2100 x 2640 cm Centre Pompidou, 2024 Architecte : Jean-Benoit Vétillard Skateur : Stellio Sakellarides Photographie : Fred Mortagne Courtesy de l'artist et de la galerie Mitterrand, Paris © Raphaël Zarka / ADAGP, 2025

Raphaël Zarka Paving Space (Partition Régulière W8M1) 2016 8 modules en chêne massif 168 × 336 × 168 cm Fondation d'entreprise Hermès, Tokyo, 2024 Photographie : Akihiro Itagaki (Nacása & Partners Inc) Courtesy de l'artist et de la galerie Mitterrand, Paris © Raphaël Zarka / ADAGP, 2025