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エリーズ・ヴィニョロン&竹内 梓

ストリートアート/サーカス/人形劇
2026/09/01 
 2026/12/26

プロフィール

エリーズ・ヴィニョロンは、フランス、シャルルヴィル・メジエ―ルの国立人形劇芸術学校(ESNAM)で、造形美術、サーカス及び人形劇を学んだ後、舞台監督、マリオネット師、造形芸術家として活動しています。現在はフランス文化省公認の劇団Théâtre de l’Entrouvertを主宰。舞台ではその場限りの素材を扱い、特別な仕掛けで観客を引き付けています。エリーズ・ヴィニョロンの催し物は世界各地で上演され、アメリカ、ドイツ、ノルウェーではコラボレーションも実施されました。エリーズ・ヴィニョロンはまた、テアトル・ド・シャティオン、ブロアのアール・オ・グラン、マルセイユのテアトル・ジョリエットのアソシエイトアーティストも兼任しています。

 

竹内梓は日本のダンサー、振付師。東京の日本大学芸術学部を卒業し、トゥールーズ、オクシタニ―のCDCNで学んだ後、ミリアム・グルファンクやムラデン・マテリック、フランク・ヴィグルー、ピエール=イヴ・マセ、平山素子、エリーズ・ヴィニョロンといった世界中のアーティストとの共演を果たしています。同時に、2010年からは振付師としても活動を開始。ソロダンサーとしては、2011年横浜ダンスコレクションEX2011でMasdanza賞を受賞したのを皮切りに、同年カナリア諸島で開催されたMasdanza16と2012年のトヨタ・コレオグラフィー・アワードで、ファイナリストに選出されています。2019年には、<40Winks>と題する作品でAerowaves(ヨーロッパにおけるダンス発掘の拠点)から選出されました。また、同年自身初の大型作品となる「からだから」を制作し、トゥールーズのガロンヌ劇場で上演しています。現在は、新たなソロ作品<FURERU/触れる>を2027年の完成を目指し準備中。


プロジェクト

時と共に変化していく素材を研究しながら、「もののあわれ」を追求する

竹内梓とエリーズ・ヴィニョロンは、ダンス、マリオネット、造形アートという異なる芸術分野を交差させながら、「もののあわれ」を追求します。そこには、メタモルフォーゼ、その場限りのはかなさ、静と動の繋がり、といった二人に共通する思い入れをさらに掘り下げていく目的があります。両者が選んだ「もののあわれ」という表現は、美学的観点からもスピリチュアル的観点からも非常に日本的な感性を備えた表現で、敢えてフランス語で表わすなら「事物への憐み」あるいは「はかなさを感じ取る感性」でしょうか。欧米には全く同じ表現が見当たらない中、この独特な言い回しは、美しさやはかなさに対し「感情を強く呼び起こす痛切さ、哀愁、感動」あるいは「心の奥深くから感じる気持ち」といった、ごく繊細且つ微妙な心の動きを言い表す言葉として定義されています。それは、存在や時間、生命、死に対し、個々人がそれぞれ感じ取る気持ちを表す表現です。梓とエリーズ・ヴィニョロンは、時と共に変化して行く素材を扱って作品を作る日本の現代アート造形作家や職人と会い、そうした彼らの取り組みを通して、彼ら自身が何を感じているのかを問いかけます。二人には人類学者が同行し、アーティスト達との交流で得たものは随時記録されたうえでデータベースとして保存されます。このデータベースは、舞台の上や即興性を必要とされる際、非常に有益なものになるはずで、二人の得意分野であるダンスや人形劇に使用する素材の新たな開発にも繋がっていきます。

FURERU ©Kazuki Teramoto

kara-da-kara © Pierre Ricci

© Damien BourletsisCr

© Clément Herbaux

Crédits

Portrait Azusa Takeushi : © Rio Saito