毎月第一木曜日はヴィラ九条山へ:2026年5月7日のプログラム

日時
2026/05/07
14h00-21h00
会場
ヴィラ九条山
〒607-8492 京都市山科区日ノ岡夷谷町17-22
入場無料・予約不要
プログラム
プログラムは変更の可能性がありますので、ご了承ください。
変更の場合、こちらのページを変更しますのでをご確認ください。
ヴィラ九条山、その近隣には駐車場はございませんのでご注意ください。
駐輪所は、ヴィラ九条山の前にあります。
14:00-18:00 – スタジオ
オレリー・ラノワゼレ、イザベル・ダエロン、カルル・マズロ、ラファエル・ザルカ、イポリット・エンゲンによるオープンスタジオ
15:00-16:00 – 講堂
「和紙――紙を超える存在」;エミリー・エヴァン(Hariko Paper/和紙専門家)による講演会(英語)
17 :00-18 :15 – 講堂
「 沖縄!!—ヴィクトワール・ティエレによるプロジェクトの始まりと制作の舞台裏」ヴィクトアール・ティエレ、東松泰子とディアーヌ・デュフールによる講演会(仏日逐次通訳付)
展覧会「沖縄!!」は、「KG+」一環として、2026年4月17日から5月17日まで関西日仏学館にて開催。本プロジェクトにより、ヴィクトワール・ティエレはKG+ DISCOVERY Award 2026を受賞しました。
この講演会は、特別ゲストに松本靖子氏を迎えて開催します。
対話では、日本写真史における重要な存在である東松照明の影響についても振り返ります。
18:30-20:00 – 講堂
「地下水をのぞく:マンホールの下の世界と涵養」:イザベル・ダエロン、長島優子と松村孝(長島鋳物株式会社)と古閑仁美(公益財団法人くまもと地下水財団)による座談会
20:00-21:00 – サロン/テラス
レセプション
当日15時~19時まで、蕩カフェのご出展いただきます!
レジデントのプロジェクト
地下水
永井佳子とともに京都の地下水をリサーチし、物語化、地図化するプロジェクト『Water Callingー京都をめぐる水の地図』を経て、イザベル・ダエロンは、上水道網や帯水層などの目に見えない水とのインターフェースとなるオブジェや装置(格子、排水口、集水桝、井戸など)に関する研究をさらに発展したいと考えています。この研究は京都以外の都市へと広げ、公共空間におけるオブジェの提案につなげることを目標としています。レジデンス終盤には、都市散策を行い、その中で新たなオブジェの提案をすることを一つの可能性として考えています。日本における地下空間は、西洋におけるものとは異なる象徴的な意味を持っているため、この差異こそをイザベル・ダエロンは深めたいと思っています。
オレリー・ラノワゼレ(2026年度、工芸)
儚さを永続させる
本プロジェクトは、オレリー・ラノワゼレと、大阪で『江戸時代にみる花結びの伝承 : ジェンダーの視点から』という博士論文に取り組む矢島由佳氏 との出会いに端を発します。花結びや修多羅、仕覆などは、伝承によってのみ存続するものであり、一種のコデックス(古代末期から中世にかけてつくられた冊子状の写本)のようです。プロジェクト『儚さを永続させる』は、「結ばれるために結ばれた」対象と結ぶ行為を、手や針などを通して問い直すことを目的としています。出会い、滑らせる紐と手、思考、形を生み出す創作行為といった一見関係性の見えない「社会的織物」を可視化することに焦点を当て、日本の素材をめぐって展開されます。
ディアーヌ・デュフール(2026年度、キュレーション)
FALLEN FROM GRACE : 戦後日本のグラフ誌に見られる欲望と違犯
日本の写真は、近年アートとして世界中から高く評価されています。しかしながら、写真が写真としての最もベーシックな役割を果たしているにもかかわらず、これまであまり注目されずに来た分野がありました。それが写真を中心に編集された刊行物です。対象は私的なものから政治的なもの、マイナーなものまで多岐にわたりました。写真家たちはそれらを通して、世の中のありとあらゆる形の欲望、暴力、違犯を表現しようとしたのです。ディアーヌ・デュフールは当時のこうした刊行物に着目し、そこから浮かび上がって来たいくつもの疑問点に踏み込みます。紙面に掲載された写真の数々が実際に語ろうとしたのは何なのか? どの権威機関がどのような過程を経て出版を認めたのか? こうした刊行物は当時どんな論争を引き起こしたのか? こうした疑問を、ディアーヌ・デュフールは東京在住のキュレーター、イヴァン・ヴァルタニアンと共に追求していきます。
ヴィクトワール・ティエレ(2026年度、造形芸術)
Into the Fog(霧の中)
ヴィクトワール・ティエレはレジデンスの後半に、Experiments in Art and Technology(E.A.T.)に関する研究も引き続き行い、その映画化を考えています。その為に、2023年にはゲッティ・リサーチ・インスティチュートにて、保管されているE.A.T.に関する記録も調査しました。映画では、特に日本人アーティスト中谷芙二子(「霧の彫刻」が代表作)の作品にスポットを当て、人工的であることと自然であること、可視と不可視といった対比する二つのものの関係性をテーマとして扱います。このテーマはまさに中谷自身の活動の中心であり、同時に現代に投げかけられた課題とも言えます。
ラファエル・ザルカ(2026年度、造形芸術)
平行投影:堀内正和と日本のアートにおける幾何学の応用
ヴィラ九条山滞在中、ラファエル・ザルカは日本のモダニズムを担った芸術家、堀内正和の作品を研究し、日本のアート分野における幾何学の応用について探求します。2027年京セラ美術館にて、堀内との共同展開催という形で発表される予定です。堀内の彫刻作品を通してラファエル・ザルカが追求するのは、日本における遠近法である並行投影(アクソノメトリック―三次元の立体を平面に描く技法)というテーマ。欧米では、ルネッサンス時代より幾何学的空間に使われる遠近法は中心投影でした。それに反し、日本の絵画では、平行線が永遠に交わらない消失点のない遠近法が使用されていました。ただ、この遠近法を用いるとある種の構図的問題が生じます。日本の絵画にも数世紀に渡ってその影響が見られました。
イポリット・ヘントゲン(2018年度、造形芸術)
げげげの花籠
2人組のイポリット・ヘントゲンは、2018年にヴィラ九条山でのレジデンス中に始めたリサーチを続けています。アーシュラ・K・ル・グィンの「フィクションのキャリーバッグ理論」という概念をもとに、作家たちは複雑な物語を内包する「かご」を生み出そうとしています。それらは、ウサギや袋に入ったジャガイモのような登場人物を伴い、グロテスクでありながらどこか愛らしさも感じさせる形として現れます。また、編み組みを取り入れることで、これまでの作品群に新たな広がりをもたらしています。花籠の技法は、立体的で造形的な表現を可能にします。さまざまな編み方によって、やわらかさや張り、リズム、空間の広がりが生まれます。
カルル・マズロ(2026年度、手の賢さにささげるリリアン・ベタンクール賞 / 2016年度、(工芸))
日の道
カルル・マズロは火を素材、インスピレーション、そして普遍的な言語として探求します。プロジェクト『Hi no Michi(火の道)』は、この火の持つ接合、保護、繋ぐ力に着目したリサーチです。京都では、伝統的な日本の技法である楽焼や、祭などの火を用いた儀式などに触れつつ、自身の素材融合のアプローチと対比させながら研究を進めます。このプロジェクトは、観察、実験、地元職人との交流といった動的なプロセスを通して、素材の変容や記憶についての現代的な考察を育みます。初めて日本を訪れてから10年後となる今回のレジデンスは、彼にとって原点回帰の機会でもあります。破壊的ではなく、身振りや素材を通して本質や予期せぬものを引き出す、古の火との再会なのです。
ゲスト:エミリー・エヴェン
和紙は、日本人の日常に静かに存在しながらも、その存在は日本の外ではまだ十分に知られていない素材です。和紙の専門家であるエミリー・エヴェンは、長年にわたり仕事や人間関係を築いてきた工房の扉を開き、その世界を紹介します。商業的な側面と、繊細な手仕事の価値を伝える活動のあいだで、彼女は素材そのものと、それを生み出す人々の両方に光を当てています。また、ヴィラ九条山のレジデントたちによる和紙の探求にも寄り添い、2022年以降、それらはデザイン、版画、ドキュメンタリー制作など、さまざまなプロジェクトへと発展しています。
Credits
Visuel: Vue de la Villa #30 Mise en abyme
© Aurélie Lanoiselée (2026, métiers d’art)