ヴィラ九条山でのレジデンス期間中、スルギ・イは秋田音頭という、女性によって歌い継がれ、その痕跡は17世紀にまで遡って辿ることのできる民謡について知っている人たちに会いに行く予定です。これと並行して、簾職人とのコラボレーションも考えられています。簾は、神話にその起源を見出せるとも言われ、細く割かれた竹を絹糸で結び合わせた一種のブラインドです。また、金沢の展示スペース《Keijiban》におけるプロジェクトでは、キュレーターのオリヴィエ・ミニョンと組み、眼差しの歴史も探求することになります。
スルギ・イの仕事は何回もの個展で紹介されてきました。パリのギャラリー《ジュス・アントルプリーズ》、ブリュッセルのギャラリー《メンデスウッドDM》と仁川(インチョン)アート・プラットフォームでの「SLOW WATER」展、ポルトガル・アルマダの現代アートセンター《Casa da Cerca》での「WE ARE NOT SYMMETRICAL」展、フランス・レンヌの現代アートセンター《ラ・クリエ》での「LE PLUS TÔT C’EST DEUX JOURS MIEUX/早ければ早いほどよい」展、ソウルのギャラリー現代での「DAMASESE」展などです。また、デンマークのオーフス現代美術館、サンフランシスコのカディスロ財団、フランス・アルトキルシュのアルザス地方現代美術基金(CRAC)、光州ビエンナーレやパリのパレ・ド・トーキョーでのグループ展でも作品が発表されています。スルギ・イはソウルの韓国国立近現代美術館におけるプロジェクト「DONG DONG DARI GORI」で2020年度の韓国美術家賞を受賞。同美術館はレジデンス中にスルギ・イが進めるリサーチ活動の後援も行っています。