30 9月 アラン・ミシャール Alain Michard
領域横断的アーティスト。同時的かつ分野横断的に展開されるアラン・ミシャールのプロジェクトは、舞台芸術(ダンスと演劇)からパブリックスペース、映画の視覚芸術に至るまで多岐にわたる。「Pas de côté」という芸術の幅を広げながら、緻密にコンテキストを意識することでドキュメンタリー映画とフィクション映画の間という創作の形をとっている。彼の作品の基となるのは「解釈」「ナンセンス」「舞台美術(セノグラフィー)」そして「サウンドデザイン」。また、プロジェクト全体を通して主題となっているのが「彷徨い」と「コミュニティー・社会・親密性の繋がり」である。過去に、ニコラ・フロック、マティアス・ポワソン、フランチェスコ・キャレリ、ジュディス・カーン、ローラ・ペルダンとの共同プロジェクトを行い、「En danseuse」では20名に及ぶ世界の振付師とのコラボレーションを果たしている。
ミシャールがヴィラ九条山でのレジデントとして取り組んだのは、VIRVOUCHERプロジェクトの延長上として行ったドキュメンタリー映画である。京都滞在中には、地域住民との交流を行い、身体、そして自然との関係性について質問を重ねた。16mmフィルムカメラ、ビデオカメラ、フィルムカメラ、ボイスレコーダーを抱え、タクシー運転手、ホームレス、小学校教員、ダンサー、庭師、南禅寺の住職や道端で偶然出会った人々にインタビューを行った。その際映像に収められた街の景色や風景は、数々のプロジェクトで使用され、その一つが現在取り組み中のプロジェクトである。
早稲田大学と京都芸術大学など、美術、舞踊、建築を学ぶ大学にて定期的に講義を行なっている。ミシャールの撮る映画は、ドキュメンタリーからフィクション、オーディオ・ビジュアルとダンスを結びつける創作と多岐にわたる。彼の作品は、フランス国内のブレスト、レンヌ、サン=ブリユー、ナント、パリ、アヴィニョン、マルセイユ、モンペリエ、ボルドー、ジュヌヴィリエ、オーブナ、アルビ、セルジー、ユゼス、グルノーブルといった都市の現代アート地域基金機構(FRAC)、現代アートセンター、舞台芸術全般の公演のための国の施設(SN)、国立振付センター(CCN)、国立演劇センター(CDN)、国立振付開発センター(CDCN)やフェスティバルなど、数多くの美術館にて展示されている。国外では、イタリア、ポルトガル、ブラジル、ドイツ、日本、カナダ、ベルギーなどで創作活動経験を持つ。近年の作品として、Ainsi passe le temps(2020年)、Tablées(2021年 – 2023年)、Città apertà(2021年 – 2022年)、L’Aurore(2022年)、En danseuse(2024年)が挙げられる。なおミシャールは、ヴィラ・メディチ海外研究奨学金を得てイスタンブールに滞在した経験を持つ。